【全ての歯科用石膏対応】超重要!プロが教える水の量と石膏の関係
「後輩に石膏に入れる水の量は?って聞かれたけど答えられないなぁ…」
「石膏2種類使ってるけど、同じ水の量でいいのかな?なんか上手くいかないなぁ…」
こんなお悩みを解決していきます。
ボクがヒヤリングした限りでは石膏に対する水の量は量っている医院、大体でやってしまう医院とまちまちでした。
結論からお伝えしますね。石膏の水の量を適当にしてしまうと、こんな問題が起きてしまいます
◆水の量が少なすぎて気泡が入りやすくなってしまう
◆水の量が多すぎて盛ることができず強度の弱い模型ができる
◆水の量が正確じゃないと模型の寸法が変わる→銀歯や入れ歯が口に入らなこと がある
意外と知られていないのですが、石膏に対する水の比率はとても重要なものです。
広く言うと医院経営にまで影響を及ぼします。
逆を言えば、ココを改善することにより、技工物の再製作を大幅に削減でき、医院の運営が円滑にまわる可能性があるのです
今回は、歯科医師、歯科衛生士よりも石膏に詳しい素材のスペシャリストである技工士のボクが石膏の水の量の重要性をお伝えしていきます
ちなみに、ボクは
◆キャリア20年超えの現役院内歯科技工士(インプラント学会認定技工士)
◆スタッフ教育歴18年
◆管理職・人事・財務・労務・営業・経営企画を経験
このような実績がありますので、どうぞ安心して読み進めてください
それでは行ってみましょう!
【歯科助手あるある】 知らずに石膏の水の量間違えると起きる問題3選
適切な水の量を知らないと起きてくる問題がいくつかあります。中には大きな問題に発展しかねないこともありますので、しっかり学んでいきましょう!
水が少なすぎて石膏が流れない
先ずは基準より水の量が少なすぎる場合、起きる問題は以下の通りです
◆石膏が固練りになる→流れにくい→空気が入りやすく気泡の原因となる
◆石膏の性質で基準よりも膨張してしまう→口の中より大きい模型になる→<br>製作した技工物が合わなくなってしまう
水が多すぎて石膏が盛れない
では、今度は逆に水が多すぎた場合はどんな問題が起きうるのでしょうか?
◆練った石膏がサラサラ(シャバシャバ)になり、高く盛ることができない→<br>模型が薄くなり、外す時に割れてしまう
◆水が多すぎると脆い(もろい)石膏になる→表面荒れと割れの原因に
◆石膏の性質で基準よりも収縮してしまう→口の中より小さい模型になる→<br>製作した技工物が合わなくなってしまう
テキトーな水の量は模型精度に影響する
石膏には必ずメーカーからの適切な水の割合(混水比と言います)が記載されています。
コレを守らない場合、流した石膏で作った模型が実際より大きくなったり、小さくなってしまいます。
我々、歯科技工士はそのことがわからないまま詰め物や被せ物を造ってしまう。
その結果、口に合わずに再製作を余儀なくされることになります。
すると、こんな負の連鎖が起きます
患者さん→もう一度、型取りのために医院に来なければならない
歯科医院→再製作の型取りのアポイントを入れなければならず、本来他の患者さんを診る時間を失う。型取りの材料と人件費がマイナスとなる。
歯科技工士→同じものをまた造らなければならない。再製作で100%請求できることは多くなく、その人件費、材料費と別患者の1個を造る時間を失う
このように誰にも得がない状況を引き起こしかねないのです
長年、技工士をやってきて散々再製作に泣いてきました。少なくとも再製作で『やったー』と思ったことは1度たりともありません。
正直モチベはダダ下がりです。コレは歯科医師の先生も同じなんです!
だからこそ医院スタッフさんの力が不可欠で、この後の正しい知識を入れてもらいたいのです
【石膏種類別一覧表あり】適切な水の量はどのくらい?
では、適切な水の量はどこに書いてあって、どのくらい必要なのか?お伝えします
是非とも覚えて頂きたい項目もありますのでじっくり読み進めてみてくださいね
【前提条件】混水比をマスターせよ
まずは【混水比】を覚えてください!【こんすいひ】と読みます。コレがわからないと石膏の外袋に書いてある表記を見ても適切な水の量はわかりません
混水比とは、石膏100gに対する水の量(ml)のことです。表記はメーカーによっておおよそ2種類に別れます。『0.25』もしくは『25%』のような感じで書いてあります
意味合いはどちらも一緒で『石膏100gに必要な水の量は25ml』と言っているのです。25%=0.25ですからね
じゃあこれが石膏200gで混水比0.25だとしたらどうでしょう?
(石膏)200g ✕(混水比) 0.25=(必要な水の量)50g (水) 50g=50ml
となるので必要な水の量は50mlとなります。100gの2倍ということですね
先ずはメーカーの袋または外箱で混水比を確認せよ
写真のように、石膏の外袋には、注意事項や性質などが書かれています
この中の混水比の数値を見て必要な水の量を割り出してください
メスシリンダーで計量せよ
必要な水の量がわかったら今度は水を計量します
そこで活躍するのが【メスシリンダー】です。日常生活では、ほぼ登場しないが理科の実験などで大活躍する液体を計量するツールです
使い方に若干のコツがあって、水を入れたら『必要な量の目盛りを必ず自分の目線の高さで見て判断する』ということです
歯科用石膏3種の適切な水の量とは?
そもそも歯科で使われる石膏は主に3種類
普通石膏・硬石膏・超硬石膏の3つです。特に印象注ぎで使われるのは硬石膏・超硬石膏の2つ
メーカーによって多少の差はありますが、石膏ごとの標準的な水の量は以下の様になります
まとめ
いかがでしたか?それでは今日のまとめです!
●混水比を理解する
●適切な水の量は、気泡のない、適切な大きさの模型にかかせない
●適切な水の量は患者、歯科医院、取引技工士の三方にメリットを生む
たかが水の量、されど水の量です!
きっちりした仕事は成果を生み、さらにアクシデントが起こっても検証しやすくなります。しっかりと基準決めてますからね
石膏と密接な関係があるアルジネート印象材に関する情報はこちらです
歯楽館はアナタのような頑張る歯科医療従事者を全力で応援していきます!
それでは、またね