【専門家が徹底解説】なぜ石膏に気泡入った?原因対処と対策全部のせ
ああ・・・また石膏に気泡入っちゃった。怒られるぅ
気をつけてるつもりなのに・・・なんで石膏流す時に気泡入るの!?
こんなお悩みを解決していきます!
毎日、印象に石膏流す時にドキドキしますよね・・・。
『頼む!気泡はいらないでくれー』と神に祈っても、印象から外すとやってくる残酷な現実。『このまま捨ててしまってなかったことに・・・』悪魔のささやきが聞こえた経験をされたことないですか?(笑)
そんなアナタでもこれを読めば石膏の気泡は激減!余計な不安は消えて別のお仕事に集中できます。スタッフからも信頼され、頼られる存在になっていくでしょう。
結論からお伝えしますよね。この4つの事を気をつければ気泡は驚くほど見かけなくなりますよ。
1.石膏流すのは最初から最後まで端の1ヶ所に固定する
2.最初の2~3回は、すくう量は控えめに
3.バイブレーターは使い過ぎず、トレーは様々な角度に傾ける
4.石膏流してる最中の気泡除去の器具の挿入は最小限に
これから詳しく話していきます。
まずは、なぜ気泡ができてしまうのかをお伝えしつつ、その対策と『気泡入ったかも!?』となった時の対処法もお伝えします。
手っ取り早く対策から知りたい方は目次から2に飛んで読み進めてください。
実は石膏に関して歯科の中で一番詳しいのは我々歯科技工士なのです。そんな中でも私ハイムは
◆キャリア20年超えの現役院内歯科技工士(インプラント学会認定技工士)
◆スタッフ教育歴18年
◆管理職・人事・財務・労務・営業・経営企画を経験
歯科に関しての知識は充分にありますので安心して読み進めてくださいね
それでは、さっそく行ってみましょう
※本記事は歯科では広く一般的であるアルジネート印象に石膏を注ぐ事を想定し書かれています
【歯科助手あるある】なぜ石膏に気泡が入ったのか?原因4選
医院スタッフが陥る問題の1つにこの【石膏注ぐ時気泡入る問題】があります
それでは、そもそもどうやって気泡(外部の空気)は入ってしまうのでしょうか?一つ一つ解説していきます
石膏流す位置がバラバラ
これが気泡が入る原因ランキング1位を争うと言っても過言ではない理由です
ちょっとだけ難しい話をしますね。水には『表面張力』という性質があります。
その水で練った石膏は図のように拡大すると一番先頭の部分が丸くなってしまいます。
故に、色々な箇所から石膏流すと石膏同士がぶつかったところに空気が閉じ込められ、気泡になってしまうのです
1回の流し込む量が多すぎる
気泡原因ランキング1位を争うライバルはコイツです(笑)
皆さんは『早く注がないと石膏固まっちゃう!』とスパチュラで大量にすくって印象に流し込んでいませんか?
一度に大量に流された石膏は大きな高波のように勢いよく流れていきます。この高さとスピードの速さが問題なのです
高い波が上から覆いかぶさってきたらどうでしょう?下の水は追いつかず、空気を閉じ込める部屋ができてしまいます。石膏でも全く同じことが起きるのです
これにより気泡ができてしまうのです。
個人的にイメージしやすいのは、葛飾北斎の【冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏】です
絶対一度は見たことある絵ですよ
バイブレーターあて過ぎとトレーの傾き
「気泡入れないようにバイブレーターしっかりかけて」と教わった人もいるでしょう。
これは半分正解で半分間違いです。
バイブレーターによる過度な振動は印象材の内部に残された空気も上に送ってしまうことがあるんです
これが運悪く石膏の中にとどまって気泡になってしまいます・・・『なんて日だ!』と叫びたくなります
バイブレーター繋がりでもう一つ、トレーを上向きに固定したまま流し続ける人がいますが、想像してみてください
炭酸ジュースのように空気は真上に上がっていきます。しかし、印象面は内側に反り返ってる部分もあります
はいわかりましたね。(笑)反り返ったところにぶつかった空気の泡は逃げられずにそこに留まってしまい、気泡となって現れるのです
インスツルメントでツンツンし過ぎ
これは心配性のビビりさんに多く見られますが、石膏流した後に細いインスツルメントなどでツンツン刺して空気を追い出そうとする人
一見正しいように見えます。もちろん最小限であれば効果はあります
しかし、やりすぎると掘った穴から空気を送り込むごとく気泡製造マシンと化してしまうのです
何事もやり過ぎは良くないってことだね・・・・
これで激減!石膏に気泡入れない対策4選
石膏流すのは端の1ヶ所に固定する
石膏流す時は必ず端から流す位置を決め、一方向に最後まで流し続けてください。
少なくとも歯の部分がしっかり石膏で覆われてプラス高さ1mmくらいまではこのルールを守りましょう。
これだけでも、気泡の出現をかなり抑えることができますよ
最初の2~3回スパチュラですくう量は控えめに
石膏を練った後の流し込むまでの間は少し深呼吸して焦らずやっていきましょう
スパチュラの長さの1/3くらいの石膏を軽くすくいとり、バイブレーターの振動に合わせて少量ずつ流し込んでいきます。
全部の歯に石膏が流れ込むまでは少量ずつのほうが無難です
バイブレーターのやめ時とトレーは様々な角度に傾ける
バイブレーターは必要最小限がいいと言いました。では具体的にどのくらいなのか・・・
症例により全部違うので、定義づけは非常に難しいところではありますが、ボクが日々臨床で感じている感覚を文字化するならば
『歯を全部石膏で覆いなおかつプラス1mm上まではバイブレーターをかける』です
根拠があるかと言われると限りなく肌感覚に近いですが、プラス1mmは歯の部分が確実に覆われるための保険みたいなものです
注意して頂きたいのは、入れ歯用の印象ではこの基準ではやめたほうがいいです。混乱させてしまいますので今回は詳細は割愛させていただきます。
ツンツンは最小限に
どうしても気泡が入ったか確かめたい時は器具の挿入(石膏に対して入れたり出したり)を最小限にしてください。
出し入れの回数が多くなるほど空気を送り込んでいることを肝に銘じましょう
ヤバい!?気泡入った!?どうしたらいい?対処法2選
ここからは石膏を流している最中に『今、絶対空気入ったよね・・・』と青ざめてしまう場面に出くわした時の対処法を2つご紹介します
先の細い器具で探り当てよ
『今ココに気泡入ったよな』用意するのは先が細くて丸いインスツルメントです。
なぜ、細くて先が丸いほうがいいのか?細さは石膏にプスッと刺す時の面積を最小限にして開いた穴を小さく空気が入りにくくするため。
丸みは印象面に触れても傷つけないためです
石膏をある程度流したら器具をそっと気泡が入っている箇所に刺し、気泡を上にたぐり寄せるように動かす
難しいですが、こうすると3回に1回位の割合で空気が上がってきますよ
【最終奥義】すべてリセット!洗い流す
タイトルの通りです(笑)早めにあきらめて、印象を水道水にさらし、石膏を洗い流してください。硬化が始まっていなければキレイに石膏は流れ落ちます
このあと、しっかり水を切って、もしくは軽いエアーで水分を飛ばしてから、作業を再開してください
まとめ
気泡を入れずに石膏を流す方法と気泡が入ってしまった時の対処法について解説しました
1.石膏流すのは最初から最後まで端の1ヶ所に固定する
2.最初の2~3回は、すくう量は控えめに
3.バイブレーターは使い過ぎず、トレーは様々な角度に傾ける
4.石膏流してる最中の気泡除去の器具の挿入は最小限に
これでアナタの流した模型は気泡が少ない精度の高いモノができ、ヒヤヒヤする毎日とおさらばです
鼻歌交じりに片付けて、周りと差をつけて医院からの信頼を勝ち取りましょう。その積み重ねでアナタの評価は確実に上がっていきます
石膏についてさらに目からウロコの知識がこちらにあります
それじゃ、またね!